入管法において、在留資格「定住者」とは「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」と定めています。
つまり、定住者は、永住者や日本人の配偶者等、永住者の配偶者等に当てはまらない者が、特別な理由に基づいて認められる在留資格です。
そして、定住者ビザは、法務大臣が告示によって定めた「定住者告示」と、それ以外の個人の特別な理由に基づいて認められる「告示外定住」に分けられます。
それでは、この定住者ビザについてもう少し詳しくみていきましょう。

定住者告示1号
こちらは、「第三国定住」による難民の受け入れのための規定です。
アジア地域に一時滞在する難民が該当します。
そして、以下のいずれかにあてはまる必要があります。
- 日本社会への適応能力がある者であって、生活を営むに足りる職に就くことが見込まれる者、その配偶者または子供、両親、未婚の兄弟姉妹
- 上記の定住者が、日本に入国する直前まで一時滞在していた国にいるその親族の者で、親族間で相互扶助が可能である者
※定住者告示2号:削除
定住者告示3号
日本人の子として出生した者の実子であって素行が善良である者
(例)
- 日系3世:日本人の孫(祖父母が日本国籍を離脱する前に父母が生まれていた場合も含む)
- 日系2世:元日本人の日本国籍離脱後の実子
定住者告示4号
- 日系3世:日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子
これは、祖父母が日本国籍を離脱した後に生まれた実子(3号定住者)の実子(3世)が対象者です。
3世の方からみて、祖父母の国籍離脱前に父母が誕生している場合は、定住者告示3号となり、祖父母の国籍離脱後に父母が誕生している場合は、定住者告示4号となります。
定住者告示5号
次のいずれかに該当する者
- (イ)日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生したものの配偶者
- (ロ)定住者3号および4号以外の1年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者(第3号又は4号に掲げる地位を有するものとして上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者及びこの号に該当する者として上陸の許可を受けた者で、当該在留期間中に離婚をした者を除く。)の配偶者
- (ハ)定住者3号または4号の定住者で1年以上の在留資格をもって在留する者の配偶者(この号に該当する者として上陸の許可を受けた者で、当該在留期間中に離婚をしたものを除く。)であって、素行が善良である者
※(イ)について:日本人の子として生まれて「日本人の配偶者等」を持つ人の配偶者のことです。
※(イ)について:「日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生したもの」とは、日系2世の方のことです。
※(ロ)および(ハ)には、それぞれ「離婚した者を除く」とありますが、これは、日本に入国する手段として定住者と結婚して自らが定住者となった上で、上陸後すぐに離婚をし外国にいる外国人と結婚後、当該外国人を配偶者として日本に呼び寄せることを防止するための規定です。
定住者告示6号
次のいずれかに該当する者
- (イ)日本人、永住者の在留資格をもって在留する者または特別永住者の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子
- (ロ)1年以上の在留資格を指定されている定住者の扶養を受けて生活する当該者の未成年で未婚の実子
- (ハ)定住者告示3号または4号に該当する定住者とその配偶者で1年以上の在留期間を指定されている定住者の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子であって素行が善良であるもの
- (二)日本人、永住者、特別永住者または1年以上の在留期間を指定された定住者の配偶者で、「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格を持っている者が扶養する未成年で未婚の実子
簡単に言うと、日本人、「永住者」、「特別永住者」、「定住者」の扶養を受けて生活する未成年で未婚の実子が該当します。
(例)
- 「永住者」が海外で出生した実子
- 日本に帰化した者の実子
- 日系2世・3世の実子
- 日本人と結婚した外国人の連れ子 など
定住者告示7号
日本人、永住者、1年以上の在留期間を指定されている定住者または特別永住者の扶養を受けて生活する6歳未満の養子です。
定住者告示8号
中国残留邦人、その配偶者やその子孫などが該当します。
告示外定住とは
上記で説明した定住者告示に該当しない場合でも、「定住者」の在留資格が認められる場合があります。
それが「告示外定住」です。
許可の理由が個人的・特別なものなので許可基準は明確に示されていませんが、以下によくある類型について解説したいと思います。
難民
法務大臣により難民として認定された者です。
離婚定住
日本人と離婚(または死別)し、引き続き日本で暮らすことを希望する場合です。
この離婚定住が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 日本において、3年以上正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたこと
- 自分で生活できる資産や収入を得られる技能を有すること
- 日常生活に不自由しない基本的な日本語能力を有すること
- 公的義務を履行していること
- 素行が善良であること
※死別定住も基本的には、離婚定住と同じ要件です。
日本人実子扶養定住
日本人の実子を監護・養育する者は以下の要件を満たす必要があります。
- 日本人実子を育てながら生活できる資産や収入を得られる技能を有すること
- 日本人との間に出生した子を監護・養育している者であって、次のいずれにも該当していること
- 日本人の実子の親権者であること
- 現に相当期間当該実子を監護・養育していることが認められること
婚姻破綻定住
婚姻破綻定住は,離婚届を出していないけれども結婚生活が事実上破綻していて、引き続き在留を希望する者の在留資格です。
家族滞在から定住者への変更
「家族滞在」ビザをもって在留する者が、日本の高等学校を卒業後、資格外活動許可(週に28時間までの就労制限)の範囲を超えて、日本で就労する場合、在留資格を変更する必要があります。
就労系在留資格へ変更するためにはいくつかの要件がありますが、その1つに「学歴」が必要となります。
就労系在留資格の中でも代表的なビザである「技術・人文知識・国際業務」ビザにおいては、専門学校で専門士の資格を取得するか、短大や大学で学位を取得しなければなりません。
そのため、家族滞在で在留する外国人の子供が高校卒業後に就職するには、就労系在留資格を取得することはとても困難なのです。そこで、このようなケースでも変更できる可能性がある在留資格が「定住者」なのです。
家族滞在ビザから定住者ビザへ変更するためには以下の要件を満たす必要があります。
- 入国後より引き続き「家族滞在」ビザをもって日本に在留していること※留学等ビザで在留している場合であっても、家族は変わらず日本に在留しており、家族滞在の在留資格該当性がある場合はこの要件を満たします
- 日本の義務教育を卒業していること※小学校および中学校を卒業していること
- 日本の高等学校を卒業しているまたは卒業見込みであること
- 就職先が決定していること
- 住居地の届出等、公的義務を履行していること
まとめ
以上、定住者ビザについて解説させていただきました。
特に、告示外定住においては、それぞれのケースに合わせて各要件を満たす必要があり、状況に応じて提出する必要書類も変わります。少しでも不安がある方は、ビザに詳しい行政書士にご相談されることをおすすめします。
定住者ビザに該当する方で手続きに不安を感じたり、お悩みの方は、お気軽に行政書士心結事務所(ゆりじむしょ)までご相談ください。
