外国人の方が日本で会社を設立して経営していくためには、「経営管理ビザ」を取得しなければなりません。
会社を設立し、事務所の契約、設立後の手続きなどをした後、経営管理ビザを申請します。
経営管理ビザを申請するまでには、様々な手続きを経なければならないのです。
では、経営管理ビザを申請するための手続きについて解説したいと思います。
(※永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の外国人は、「経営管理ビザ」を取得せずに、会社経営をすることができます。)
(※経営管理ビザは代表取締役以外にも、取締役、支店長、工場長などの事業の経営・管理に関する業務を行う外国人も対象となります。但し、取締役などの肩書だけで経営管理ビザが認められるわけではありません。業務として事業の経営や管理に携わっているなどの必要があります。 )

会社を設立する
まずは会社を設立します。
日本で住んでいる外国人が会社を設立する場合と、海外に住んでいる外国人が会社設立する場合では、手続き方法が異なります。
ここでは、日本に住んでいる外国人が会社を設立する場合に必要な手続きと流れについてご紹介します。
■会社の形態を決める
許可になる条件はそろっているのに、書類の不備または書類でそれを説明しきれていなかったり、誤解・疑念をいだく表現になっていたりする場合があります。
また、ビザに関しては、法律や細かいルールの変更が頻繁にありますので、誤った情報や、古い情報をもとに申請して、不許可になってしまったというケースも少なくありません。
本来であれば許可が出るはずだったのに、不許可になってしまうのはとても残念なことです。
■会社の基本事項を決める
会社名(会社の商号)・目的(事業目的)・本店所在地・発起人・出資額・役員構成などを決めます。
■定款を作成する
上記の事項が決定したら、定款を作成します。
定款には、必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項)があります。
絶対的記載事項は、①目的②商号③本店の所在地④設立に際して出資される財産の価額またはその最低額⑤発起人の氏名または名称及び住所の5つの事項です。
絶対的記載事項ではない発行可能株式総数および設立時発行株式については、はじめに定款で定めておく方が良いです。
原始定款(会社設立に際して初めて作成される定款)で定めていない場合は、設立登記申請までに発起人全員の同意により定める必要があります。
■公証役場で定款を認証する
作成した定款を公証役場で認証します。
定款を、公証役場に持って行って、公証人の認証を受ける必要があります。
電子定款を利用すると、4万円の印紙税が無料になります。
行政書士の多くは、電子定款に対応しています。
※合同会社の場合は、定款認証は必要ありません。
■資本金を振り込む
会社の資本金を振り込みます。
振込先は発起人の口座です。注意する点は、資本金を振り込むのは、公証役場での「定款認証が終わった後」です。発起人の口座は、日本の銀行の口座である必要があります。
■法務局へ設立登記をする
設立登記に必要な書類を作成し、法務局へ法人設立登記と会社代表印の登録を行います。
株式会社の登記申請は、資本金額の1000分の7の登録免許税の実費がかかります。
※15万円に満たない場合は、15万円
■各種届出をする
法人設立届・給与支払事務所等の開設届・源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請などの書類をを税務署に提出します。
※株式会社や合同会社の場合、社会保険の加入は必須です。
また、従業員を雇う場合も、社会保険に加入する必要があります。
経営管理ビザの申請
会社の設立、各種届出、許認可の取得ができたら、経営管理ビザを申請します。経営管理ビザが許可されるためには、下記の要件を満たす必要があります。
経営管理ビザの取得要件
- 事業所が日本国内に確保されていること
- 事業規模が次のいずれかを満たすこと
a.2名以上の常勤職員が従事していること
b.資本金の額又は出資の総額が500万以上であること
c.aまたはbに準ずる規模であると認められるものであること - 事業の継続性・安定性を示せること
- 事業の経営または管理に実質的に従事すること
※申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、下記の要件を満たす必要があります。
- 事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有すること
- 日本人と同等額以上の報酬を受けること。
申請人が事業の管理に従事する場合は、本人の500万円以上の出資は不要です。
※資本金については、お金の出所をはっきりする必要があります。
経営管理ビザの必要書類
下記は、日本でビザ(在留資格)を有する外国人が日本で会社設立した場合に、経営管理ビザに変更する際に必要となる書類です。
- 申請書
- 証明写真
- 在留カード
- パスポートのコピー
- 大学の卒業証書または卒業証明書
- 日本語能力を証明する書類(あれば)
- 申請理由書
- 出資金を説明する書類
- 会社の登記事項証明書
- 事業計画書
- 役員報酬を決議した株主総会議事録
- 会社概要案内書(主要取引先と取引実績を含む)
- 事業所の賃貸契約書、写真、平面図など
- 不動産登記簿謄本(事業所が自社物件の場合)
- 従業員の雇用契約書(雇用予定の場合)
- 給与支払事務所の開設届の写しなど
- 営業許可証のコピー(あれば)
申請人が、役員に就任することになったとしても当然に経営管理ビザが認められるわけではありません。
実質的に会社の経営や業務執行などの権限を有しているか、または実際に事業の管理業務に従事しているかという点がポイントとなります。
そして「事業の適正性」や事業の「安定性・継続性」を有しているかという点も、重要なポイントとなります。
これらを判断する資料の提出が不可欠となりますが、その中でも、「事業計画書」がとても重要な書類となります。
また、経営管理ビザの取得要件である資本金500万以上については、お金の出所をはっきりする必要があります。
まとめ
外国人が会社を設立し、経営していくために必要な手続きの流れや、経営管理ビザの取得要件・必要書類について解説しました。経営管理ビザの申請には、様々な手続きを経なければなりません。また、取得要件やたくさんの提出書類があります。
経営管理ビザの要件を満たしているかご不安のある方、手続きが難しいと感じる方は、お気軽に行政書士心結事務所(ゆりじむしょ)にご相談ください。
